女王ヴィクトリア 愛に生きる S1E3 "Brocket Hall" 「結婚の圧力」の感想

イギリスでの放送日 4 September 2016
日本での放送日時 2017年8月13日(日) 23:00-23:50

レオポルド

ベルギー王レオポルドが登場。

オペラ『ランメルモールのルチア』鑑賞の帰途、彼とヴィクトリアとの会話。

このエピソードで最も好きな場面だ。

ヴィクトリアは王室の威光を揺るぎないものと考えている。

一方で苦労を重ねたレオポルドは楽観的ではない。

ロウソクを使った例えでヴィクトリアの慢心をくじく。

どちらが正しかったかは歴史が証明している。

ネットフリックスの『ザ・クラウン』のシーズン1エピソード2が教えてくれるように。
このドラマでエリザベス女王の祖母、メアリー・オブ・テックは手紙により孫に語りかける。
「数多くのヨーロッパの王室が倒れました」
ヴィクトリアの時代から100年余り後のお説教だ。
ドイツ、ロシア、フランス、イタリア、スペイン、ポルトガル・・皆倒れている。

これまでのエピソードでヴィクトリアは何かと騒ぎを起こしていた。
彼女がその性格そのままで統治を続けた場合、英国の王室もどうなったかはわからない。
革命によりチャールズ1世のように断頭台の露と消えることもありえないことではない。
ヴィクトリアの即位は映画『レ・ミゼラブル』の学生たちの蜂起から5年後の1837年なのだ。

ブロケットホール



ブロケットホールの舞踏会室はコリン・ファースのドラマ『高慢と偏見』の撮影で使われた。
ブロケットホール公式によると現在では主にゴルフ場、結婚式や宿泊、会議用の施設として使用されている。
30のエンスイートダブルベッドルーム、8つの主要スイート
伝統的なバトラーサービス
すべての寝室のテレビ
全面的に無料の高速Wi-Fiを利用可
テニスコート
7つのミーティング&イベントスペース(息を呑む舞踏会室、図書室、ボードルームなど)
150名様までのプライベートダイニング、ミーティング、カンファレンス
ヘリポート

日曜日のアフタヌーンティー(誕生日、記念日、または日曜日の午後のお食事に最適)は39.5ポンド(5500円)
歴史の項目にはヴィクトリアは頻繁にブロケットを訪問したとある。

またメルバーン子爵は毎週のようにヴィクトリアにブロケットの庭園で摘んだ花を送ったそうな。ドラマ中ではメルバーン子爵は栽培の難しい蘭をヴィクトリアに贈ることにより、本心を伝えている。

またマーガレット・サッチャーはブロケットホールで自伝を書いた。

首相と縁のあるカントリー・ハウスだ。
 
ブロケットホール。ロンドンの北45km。馬車の時速16km/hの時代に手軽に行ける距離ではないが、ドラマ中のヴィクトリアはお忍びで押し寄せる。

ヴィクトリア時代の郵便馬車

メルバーンとヴィクトリア

メルバーンとヴィクトリア。エリザベス1世のようにヴィクトリアが結婚せず、レスター伯のようにメルバーンがヴィクトリアの愛を受け入れた場合を空想しよう。

エリザベス1世のカップルとヴィクトリアたちとの最大の違いは年齢差だ。

エリザベス1世とレスター伯ロバート・ダドリーは1533年生まれの同い年だった。

それに対しヴィクトリアとメルバーンの年齢は離れている。

メルバーンは老いる。そしてヴィクトリアは若さを保つ。

レオポルドが指摘したとおり、ヴィクトリアの関心は他へと向かうことになったと思われる。

そして当時の王室は絶対的なスターだ。

テレビもラジオも映画もミュージカルもない時代だから。

そのスターであるヴィクトリアが結婚せずに寵臣を抱えた場合、保守的な民衆はどのような反応をするだろうか。

彼らはヴィクトリアを秩序の破壊者として捉える。激しく反発する。革命へと繋がったかもしれない。



史実

メルバーン子爵は1779年生まれなので、この年60歳。

ルーファス・シーウェルと異なり、太っていたという。

ドラマと異なり、現実は厳しいものだ。


退場する人々

宮廷劇は君主の意向によって、あるいは運命によって、登場人物が次々と退場する劇でもある。

カンバーランド公がハノーファーへ行くことを決意した。

またサー・コンロイも年金とアイルランドの爵位を約束されたことによりケント公妃と別れることを選択した。

ふたりともこのまま退場するとは思えないキャラクターではある。復活するかもしれない。

系図

ヴィクトリアとベルギー王レオポルドとアルバートの関係

Francis, Duke of Saxe-Coburg-Saalfeld と 
Countess Augusta Reuss-Lobenstein-Ebersdorf の子供たち
  • Sophie Fredericka Caroline Luise
  • Antoinette Ernestine Amalie
  • Juliane Henriette Ulrike 
  • 男子(死産)
  • Ernst I Anton Karl Ludwig, Duke of Saxe-Coburg-Gotha ・・・アルバートの父。
  • Ferdinand Georg August
  • Marie Luise Victoria ・・・・ヴィクトリアの母。ケント公妃。
  • Marianne Charlotte
  • Leopold Georg Christian Frederick … ベルギー国王レオポルド1世。
  • Franz Maximilian Ludwig


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