『ザ・クラウン』のシーズン2エピソード9”父として”の感想。

フィリップとチャールズ


Netflixで『ザ・クラウン』のシーズン2エピソード9”父として”を視聴した。

思うようにならない父と子の関係を描いた素晴らしいエピソードだ。

エジンバラ公フィリップは息子チャールズがスコットランドの学校に寄宿することによって、自分のように強い男になると思っている。

ところがフィリップとチャールズとでは環境も性格も異なっている。

チャールズは将来の英国国王だ。

子供は野蛮だ。

将来の国王でも特別扱いしない。

イートン校のような特別な子供の集団は別として、特別な待遇を受けているチャールズをいじめてやろうと考える。

チャールズは牢獄のような場所で5年間を過ごすこととなる。

ダルムシュタットの葬列


そしてチャールズの姉セシルのダルムシュタットでの葬儀の場面。

大人から子供までナチ党員でいっぱいだ。

セシルが亡くなったのは1937年。

その5年前の1932年。ドイツ社会党(SPD)はナチの選挙での躍進を阻もうと、ダルムシュタットのあるヘッセン邦議会選挙で総力を挙げて宣伝活動を行い、勝利を得た。

このことは斎藤卓己の『増補 大衆宣伝の神話 マルクスからヒトラーへのメディア史』に詳しい。

『ザ・クラウン』で描かれたナチ党員が立ち並ぶセシルの葬儀の場面は誇張ではないだろう。

わずか5年間でSPDの勝利した街から、老若男女が皆ナチ党員の街となっている。

大衆への洗脳の恐ろしさも感じる。


0 件のコメント:

コメントを投稿