ネットフリックス:『スヘルデの戦い』 The Forgotten Battleのスーザン・ラデル Susan Radder




映画『スヘルデの戦い』について

ネットフリックスと共同制作した最初のオランダ映画となる。
制作費は1,400万ユーロ。
戦争映画ではポール・バーホーベンの『ブラックブック』に次ぐ予算だ。
主人公は3人。
スヘルデ川河口の島ワルヘレンの市役所に勤めるオランダ人女性テュンティエ(トゥン)。
戦争に幻滅しているオランダ系のドイツ軍兵士スタベレン。
イギリスの空挺グライダー部隊の兵士ウィル・シンクレア。

スヘルデの戦いについて

Battle of the Scheldt。
1944年10月2日から11月8日まで。
連合軍とナチス・ドイツ軍の戦い。
『遠すぎた橋』で有名なマーケット・ガーデン作戦の次の作戦だ。

連合軍はドイツ国境へと迫っていた。
しかし補給が困難となっていた。
600キロメートル離れたシェルブール港から補給物質を輸送していたのだ。
カレーやダンケルクなどの港はドイツ軍によって要塞が構築されており、早期の確保は無理だった。
確保されても港湾設備はドイツ軍によって破壊されるだろう。
一方、連合軍はベルギーのレジスタンスの協力によって、無傷で外航船の荷揚げ荷降ろしが可能なアントワープ港は確保していた。
しかし、海へといたるスヘルデ川の河口はドイツ軍の占領下にあった。







ワルヘレンコーズウェイの戦い

コーズウェイは土手道、陸橋。
アントワープ港への水路を開くための最後の障害がワルヘレン島のドイツ軍だった。
防護された砲台があり、連合軍の掃海艇による作業を妨害していた。
第5カナダ歩兵旅団とイギリス第52(低地)歩兵師団は土手道の攻撃へと向かった。


スーザン・ラデルについて

スーザン・ラデルはネットフリックスで2021年10月15日から公開されるオランダの戦争映画『スヘルデの戦い』でテュンティエ(トゥン)・ヴィッサーを演じる。

彼女は1999年3月20日にアムステルダムで生まれた。
ゴールデンカーフ賞の最優秀テレビ映画賞を受賞したテレビ映画『HORIZON』で有名だ。
この映画で彼女は怒りを抱えたティーンであるリーケ Liekeを演じた。
怒りを抑えるには水泳の飛び込みできれいなジャンプを決めるしかないというキャラクターだ。

『HORIZON』の撮影は高校受験の終了後すぐに行われた。
同級生はマヨルカ島への旅行ではじけていたが、スーザンは撮影をがんばった。
スーザンはリーケを演じるために定期的にそのキャラクターを家に連れて帰った。
夕食時には、リーケとしてテーブルに座る。
両親にとってはちょっと変な話だった。

スーザン・ラデルのインスタグラム



映画『スヘルデの戦い』 インスタグラム



映画でテュンティエが移動するルート
スヘルデ河口の島ワルヘレンからザイト=ベーフェラント島へと渡っている。
現在はふたつの島は干拓によって本土とつながっている。



Susan Radder ツイッター






映画『スヘルデの戦い』の感想(ネタバレあり)

冒頭のドイツ軍が撤退していく情景はとても良い。
喜ぶ市民、ドイツ軍に協力していたので引っ越しの準備をする市長など。
オランダ系のドイツ軍兵士スタベレンのソ連軍との激闘も良い。
ハリフォックス爆撃機に牽引されるウィルのグライダー操縦の場面も。

やがてワルヘレン島のドイツ軍は補充されて勢いを取り戻す。
市民たちの失望感の描写も良い。
ところが、トゥンの弟の自首の場面からテンポが悪くなる。
戦争映画にサスペンス風の長い場面が加わるので、違和感が残る。

さらにトゥンがレジスタンスから依頼された書類は正体を隠しておくべきだったと思う。
とても大事な書類だ、と。
ウィルたちが土手道の攻撃で苦闘する。打開策がない。どうするか?
という場面で謎の書類が到着して迂回路が判明する、という流れが良かったと思う。

参考資料

コマンドマガジン147号。巻頭記事の『アイゼンハワーの戦争 戦略家としての将軍』はスヘルデの戦いの背景の理解に役立つ

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